試合が終わったあと、子どもが「今の判定おかしくない?」「絶対ファウルだったのに」と納得できない様子を見せることがあります。
親も同じ場面を見ていて、「あれは違うと思う」と感じることはあります。けれど、その場ですぐ審判の正しさ・間違いを決めるより、子どもの悔しさを受け止めつつ、親まで審判と戦う側に回らないことを大切にしたい場面です。
この記事では、判定への不満を無理に飲み込ませるのではなく、子どもが試合そのものへ戻っていくために、親がどんな距離で関われるかを整理します。
判定への不満を、すぐ「審判が悪い」で終わらせない
子どもが判定に納得できないとき、親が先に「審判のミスだね」と結論を出すと、その試合の記憶が「自分は悪くなかった、判定が悪かった」で止まりやすくなります。
一方で、「文句を言わない」「審判は絶対だから」と気持ちごと押さえ込む必要もありません。
まずは、何が納得できなかったのかを子どもの言葉で聞いてみます。接触の強さなのか、ボールがラインを出たと思ったのか、相手との同じプレーなのに自分だけ笛が鳴ったように感じたのか。大きな「判定がおかしい」を、具体的な一場面へ戻していきます。
「納得できない」と「判定を尊重する」は両立する
JSPOの子ども向けフェアプレー教材では、ルールを守ることに加えて、審判や対戦相手を尊重することをフェアプレーの一部として示しています。
JFAもリスペクトの考え方の中で、審判も人間でありミスが起こり得ることを前提にしながら、判定を尊重する姿勢を示しています。
ここで大事なのは、「判定に疑問を持ってはいけない」という意味ではないことです。疑問が残るなら、試合後にルールを確認したり、必要ならコーチへ聞いたりできます。それでも試合中は、判定が出たあとに次のプレーへ進む必要があります。
「納得できない気持ちはあっていい。でも試合では次へ進む」。この二つを分けて考えると、子どもにも伝えやすくなります。
試合中は、親が審判と戦わない
観客席やサイドラインから親が大きな声で判定へ反応すると、子どもはプレーよりも「親も怒っている」「自分は不当に扱われた」という方へ気持ちが引っ張られることがあります。
JFAの保護者向け資料でも、子どもが主役であり、親はベンチから少し離れて見守り、審判も含めてゲームに関わる人を尊重する考え方が示されています。
親自身も「今の判定は違う」と思うことはあります。その感情をなくす必要はありません。ただ、試合中に親ができるのは、判定への抗議を大きくすることより、次のプレーへ戻る子どもを応援することです。
帰り道では、正解を教えるより「どこが嫌だった?」と聞く
試合直後は、子どもも親も感情が残っています。その状態で映像も見ず、ルールも確認せずに「絶対誤審だった」「いや、あれは正しい」と決着をつけなくても大丈夫です。
本人が話したそうなら、「どの場面が一番納得できなかった?」くらいから聞いてみます。説明しているうちに、子ども自身が「接触そのものより、そのあと気持ちが切れたのが嫌だった」と気づくこともあります。
逆に、まだ怒っていて話したくなさそうなら、すぐ振り返りを始めなくても構いません。試合後の会話は、早ければよいわけではありません。
ルール確認をするなら、落ち着いてから
判定について本当に疑問が残るなら、あとで競技規則や大会要項を確認するのは良いことです。
ただし、映像の角度や見えていない接触、審判の位置など、観客席からは分からないこともあります。「ルールを調べた=その判定が間違いだった」とまでは言えない場面もあります。
親子で確認するなら、「審判を間違いだと証明するため」ではなく、「次に同じ場面が来たとき、自分たちはどう理解するか」を目的にすると、試合へつながる振り返りになります。
コーチへ聞くなら「判定への抗議」ではなく確認として
子どもが何度も同じ場面を気にしているなら、コーチへルールやプレーの見方を確認する方法もあります。
そのときも「審判がおかしかったですよね?」と同意を求めるより、「あの場面はルール上どう考えればいいですか」「次は本人が何を意識するといいですか」と聞く方が、子どもの次の行動につながりやすくなります。
判定そのものを変えることより、同じ場面で子どもがどうプレーを続けるかへ戻すイメージです。
安全や暴言の問題は、通常の「判定への不満」と分ける
ここまでの話は、通常の競技中の判定についてです。
もし審判・指導者・観客からの暴言、差別的な言動、威圧、危険な状況への放置など、安全や尊厳に関わる問題があるなら、「判定に文句を言わない」という話とは別です。大会運営者やチーム、競技団体の相談窓口など、適切な大人が状況を確認する必要があります。
通常のジャッジへの不満と、安全・権利に関わる問題を一緒にしないことも大切です。
親ができるのは、判定の答えを出すことより「次へ戻れる場所」を作ること
子どもが判定に納得できないとき、親が正しい判定を言い当てる必要はありません。
- 悔しかった気持ちは否定しない
- すぐ審判を悪者にしない
- 試合中は親まで抗議を大きくしない
- 疑問が残れば、あとでルールやコーチに確認する
- 最後は「次にどうするか」へ戻す
判定は自分で変えられないことがあります。でも、判定のあとにどうプレーするか、試合後にどう受け止めるかは、少しずつ選べるようになります。
審判を信じることと、何も考えないことは同じではありません。 疑問を持ちながらも、相手や審判を尊重し、また次のプレーへ戻る。その経験も、子どもがスポーツから学べることの一つです。

コメント