子どもがスポーツを楽しんでいる。できることなら応援したい。でも、毎週の送迎や遠征、集合時間に合わせた早起きが重なってくると、親のほうが先に疲れてしまうことがあります。
「子どもがやりたいと言っているのに、送迎がしんどいなんて言いにくい」「ほかの家庭は普通にやっているように見える」。そんなふうに感じると、負担があってもそのまま抱え込みやすくなります。
でも、送迎の負担は気持ちだけの問題ではありません。笹川スポーツ財団の2021年調査では、子どものスポーツ活動に関わる保護者の負担として、送迎に関する項目が上位に挙がっています。家庭によって距離、仕事、きょうだい、車の台数、運転できる人の数は違います。「送迎が大変」と感じること自体は、珍しいことではありません。
| こんな状態が続いている | 見直したいこと |
|---|---|
| 毎週末ほぼ送迎で終わる | 参加頻度・遠征の優先順位 |
| 片方の親だけに偏っている | 家庭内の分担・代替手段 |
| 他の子の送迎まで負担になっている | 配車ルール・引き受ける範囲 |
| 下の子の予定が回らない | 家族全体の予定との両立 |
| 送迎のために仕事や休息を削っている | 今の活動量を続けられるか |
送迎がしんどいのは「応援する気持ちが足りない」からではない
子どものスポーツを応援したい気持ちと、毎週の送迎がしんどい気持ちは、同時にあってかまいません。
送迎には、運転している時間だけではなく、集合時間に間に合わせる準備、待ち時間、遠征先までの移動、帰宅後の片づけまで含まれます。試合が遠ければ、家族の一日そのものがその予定を中心に動くこともあります。
JFAの保護者向け資料でも、送り迎えや弁当、洗濯など、子どものスポーツを支える保護者の役割に触れています。そのうえで大切にされているのは、スポーツの主役は子どもだという考え方です。
子どもが主役だからこそ、家族全員が無理を重ねて続けることだけが正解ではありません。親が疲れ切って家庭全体がぎくしゃくする前に、「今の支え方を続けられるか」を見直すことも、長く応援するための一つの方法です。
まず「何がしんどいのか」を分けてみる
送迎がつらいと感じても、負担の正体は家庭ごとに違います。
- 練習場所までが遠い
- 試合・遠征が多い
- 朝が早い
- きょうだいの予定と重なる
- 仕事のシフトと合わない
- 送迎できる人が一人しかいない
- 他の家庭の子まで乗せる配車が多い
- 待ち時間が長く、丸一日つぶれる
- ガソリン代や高速代も積み重なっている
「スポ少がしんどい」と大きくまとめるより、どこで負担が増えているかを分けたほうが、変えられる部分を見つけやすくなります。
全部の活動に参加しなければいけないとは限らない
チームによっては、練習・練習試合・大会・遠征が続く時期があります。予定表を見ていると、「入っている予定は全部参加するもの」と感じやすくなります。
ただし、欠席できるか、遠征は必須か、低学年も毎回参加するのかはチームごとに違います。まずは、チームとして本当に必須なのか、なんとなく皆が参加しているだけなのかを分けて確認したいところです。
家庭の都合で参加できない日があるなら、そのこと自体を必要以上に特別扱いしなくてもかまいません。仕事、きょうだい、家庭行事、体調など、各家庭の事情は違います。
配車は「できる人がいつもやる」状態にしない
スポ少では、自分の子だけでなく、他の子を乗せて試合会場へ向かう配車が必要になることもあります。
助け合いはありがたい一方で、「車が大きいから」「いつも運転してくれるから」という理由で同じ家庭へ負担が偏ると、続けるほどしんどくなります。
配車を分けるなら、たとえば次のような点をチーム内で共有すると整理しやすくなります。
- 誰が運転できるか
- 何人まで乗せられるか
- 高速道路を使えるか
- 送迎だけ可能か、終日付き添いも可能か
- ガソリン代・高速代をどう扱うか
- 難しい日は遠慮なく断れるか
「毎回助けてもらっているから断れない」「前もやったから今回もやらないと」と、個人の善意だけで回す状態は長続きしにくいものです。
保護者同士の距離感で悩んでいる場合は、スポ少の保護者同士が合わないとき。子どもを巻き込まないために親ができることも参考にしてください。
家庭の中でも「送迎できる人」を固定しすぎない
送迎を一人の親がほぼ担当している家庭では、その人が疲れて初めて「かなり偏っていた」と気づくことがあります。
笹川スポーツ財団の2021年調査では、子どものスポーツ送迎は母親の関与割合が父親より高い結果でした。ただし、大切なのは「母親がやるべき」「父親がやるべき」という話ではありません。その家庭で、負担が一人に偏りすぎていないかを見ることです。
全部を半分ずつにできなくても、朝の送りだけ交代する、帰りだけ担当を変える、遠征の日だけ別の家族に頼むなど、分け方はいくつもあります。
子どもにも「家族の予定」を伝えていい
親が疲れていることを子どもへ一切見せないようにすると、ある日突然「もう無理」「辞めて」と強く言ってしまうことがあります。
だからといって、「あなたのスポーツのせいで大変」と背負わせる必要もありません。
たとえば、「今週は妹の予定もあるから、この練習試合は送れない」「この遠征は行けるけど、毎週は難しい」と、家庭の予定として伝える方法があります。
子どもがスポーツを続けることと、家族全員がその競技中心で動くことは同じではありません。家庭の事情を共有しながら続け方を考えることも、子どもが自分の活動を少しずつ自分ごととして考えるきっかけになります。
「送迎できない=続けられない」とすぐ決めない
負担が大きくなると、「もう辞めてもらうしかない」と0か100かで考えやすくなります。
その前に、次のような中間案がないかを見てみます。
- 参加回数を少し減らす:毎回の練習試合・遠征へ行く前提を見直す
- 送迎を分担する:家庭内・チーム内で固定化している担当を変える
- 近い活動を優先する:遠征頻度が高い場合、普段の練習とのバランスを見る
- 一人で行ける方法を検討する:年齢や安全面を確認しながら、徒歩・自転車・公共交通なども選択肢にする
- チームへ相談する:欠席や配車について、実際の必須範囲を確認する
活動量を少し下げるだけで続けられる家庭もあります。逆に、チームの運用そのものが家庭状況とどうしても合わない場合は、環境を変える選択肢を考えることもあります。
親がしんどい状態を長く放置しない
「子どものためだから」と無理を続けていると、送迎そのものだけでなく、試合観戦やチームの連絡まで全部嫌になってしまうことがあります。
以前の記事でも、子どもは続けたいのに親がしんどくなったときの考え方を整理しました。詳しくは、子どもはスポーツを続けたい。でも親がもうしんどいとき、どう考える?でまとめています。
送迎は毎週繰り返す負担だからこそ、小さな無理でも積み重なります。「まだできる」ではなく、この状態を半年、1年続けられるかで考えてみると、見直すタイミングが分かりやすくなります。
まとめ|子どもを応援するために、送迎の形を変えてもいい
スポ少や子どものスポーツでは、送迎が必要になることは少なくありません。だからこそ、「送迎できて当然」と抱え込むのではなく、家庭に合った形へ調整していくことが大切です。
- 送迎の何が負担なのかを分ける
- 全部の活動へ参加する前提を見直す
- 配車や家庭内分担を固定しすぎない
- 子どもにも家庭の予定として伝える
- 辞める前に、活動量や送迎方法を調整できないか探す
子どもを応援する気持ちは、毎回どこへでも車で連れていくことでしか示せないものではありません。家族が無理なく続けられる形に整えることも、長く見守るための大切なサポートです。

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