いつも練習で隣にいた子、試合の移動で一緒に座っていた子、終わったあとにくだらない話をしていた子。そんな仲のいいチームメイトが辞めることになると、子どもにとっては「チームから一人減る」以上の出来事になることがあります。
「もう練習に行きたくない」「自分も辞めようかな」と言われると、親はすぐに続けるか辞めるかを考えたくなります。でも、最初に決めたいのは進退ではありません。まずは友達がいなくなる寂しさと、スポーツそのものを続けたい気持ちを分けて聞くことです。
JSPOはスポーツ少年団での活動について、スポーツの楽しさだけでなく、仲間との連帯や友情を育む場でもあるとしています。仲のいい子が辞めて落ち込むのは、それだけその関係が子どものスポーツ生活の一部だったとも考えられます。
| 子どもの言葉 | すぐ結論にせず確認したいこと |
|---|---|
| 「寂しい」 | 何を一緒にする時間が一番好きだったのか |
| 「行きたくない」 | 次の練習で特に嫌・心細い場面はどこか |
| 「自分も辞めたい」 | 友達がいないからなのか、競技やチーム自体から離れたいのか |
| 「話す人がいない」 | 挨拶できる子、練習で組める子、相談できる大人はいるか |
仲のいい子が辞めると、練習の景色まで変わる
子どもが好きだったのは競技だけとは限りません。練習前に一緒に準備すること、ペアを組むこと、試合の待ち時間に話すこと。こうした小さな時間も含めて「チームが楽しい」になっていた可能性があります。
だから、親から見て「まだ他にも仲間はいる」「人数は十分いる」と思っても、本人の感じ方とはずれることがあります。まずは「寂しいよね」「一緒にいる時間が多かったもんね」と、起きた変化をそのまま受け止めるだけでも十分です。
「また友達できるよ」と急いで埋めなくていい
落ち込んでいる姿を見ると、親は早く元気にしたくなります。けれど、「また仲のいい子ができるよ」「気にしなくて大丈夫」と先回りすると、本人がまだ話したい寂しさを閉じてしまうことがあります。
次の友達を探す前に、「何が一番変わりそう?」と聞いてみます。たとえば、アップの相手がいなくなるのか、遠征の移動が心細いのか、学校が違うためチームでしか会えなかったのか。具体的になると、親が手伝えることと、時間が必要なことが分かれてきます。
「自分も辞めたい」は3つに分けて聞く
仲のいい子の退団を聞いた直後に「自分も辞めたい」と言うこともあります。その言葉だけで進退を決めず、少なくとも次の3つを分けてみます。
- 友達がいなくなるのが寂しいのか
- 一人になりそうでチームへ行くのが不安なのか
- もともと競技やチームを続けること自体に迷いがあったのか
もちろん、一度の会話できれいに分かれないこともあります。「今すぐ決めなくていいから、どの気持ちが一番近い?」くらいの聞き方で構いません。
JFAは育成年代の保護者に向けて「子どもが主役」という考え方を示し、子ども自身が考え、感じ、判断することを認めるよう呼びかけています。友達が辞めたあとも、親が「続けるべき」「一緒に辞めたほうがいい」と先に答えを決めるのではなく、本人の気持ちを確かめることが出発点です。
次の練習は「この先ずっと」ではなく1回ずつ考える
「これからずっと一人だったらどうしよう」と考えると、子どもも親も話が大きくなりがちです。そんなときは、まず次の練習一回に話を戻します。
- 集合したら誰の近くに行けそうか
- ペア練習になったらどうするか
- 休憩時間に一人になりそうなら誰へ声をかけるか
- つらくなったときコーチへ伝えてよいか
先の気持ちまで約束させる必要はありません。「次に行ってみて、帰ってからまた話そう」と区切れば、続ける・辞めるの二択だけで考えずに済みます。
辞めた友達との関係まで終わらせなくていい
チームを辞めることと、友達でなくなることは別です。本人同士がこれからも遊びたい、連絡を取りたいと思っているなら、家庭のルールや相手の家庭の考えも尊重しながら、スポーツ以外でつながる方法もあります。
一方で、親が「せっかくだから毎週会わせよう」と関係維持を課題にする必要もありません。子ども同士の距離は変わることがあります。続く縁も、少しずつ離れる縁もあると考え、本人のペースに任せます。
残ったチームで「次の親友」を急いで作らせない
親から「ほかの子とも仲良くしなよ」と言われると、子どもには今までの友達をすぐ置き換えるように聞こえることがあります。
必要なのは、新しい親友を一人作ることより、チームの中に小さな接点を増やすことです。挨拶できる子、アップで組める子、帰りに少し話せる子。そうした関係がいくつかあるだけでも、居場所の感じ方は変わります。
必要ならコーチには「事実だけ」を共有する
友達が辞めてから練習へ行くのを強く嫌がる、練習中に一人でいることを気にしているなど、チーム内での様子が関係しそうなら、コーチへ短く共有してもよいでしょう。
「仲のいい子が辞めて少し落ち込んでいます。最近、練習で一人になることを気にしています」のように、家庭で見えている事実を伝えます。「誰かと必ずペアにしてください」と結論まで決めるより、まず現場での様子を聞くほうが状況をつかみやすくなります。
親が避けたいのは、友達の退団を評価すること
「あの子は途中で辞めた」「せっかく続けていたのにもったいない」「あなたは最後まで続けようね」。こうした言葉は、辞めた友達の選択と、自分の選択を子どもの中で結びつけてしまいます。
退団の理由は家庭ごとに違います。親同士で事情を知っていたとしても、子どもの前では友達やその家庭の決断を評価せず、「〇〇くんは別の道になったんだね。あなたはどうしたい?」と分けて扱うほうが、本人が自分の気持ちを話しやすくなります。
落ち込んでいる間も、スポーツ以外の時間は残しておく
チーム内の人間関係が大きく変わったときほど、家、学校、ほかの友達との時間が支えになることがあります。スポーツだけで気持ちを立て直そうとせず、普段どおりの生活を続けます。
練習や試合が多く、学校の友達と遊ぶ時間そのものが少なくなっているなら、子どものスポーツと友達との時間の考え方もあわせて整理できます。
続けるか辞めるかは、友達の決断ではなく本人の気持ちで決める
仲のいいチームメイトが辞めたことは、子どもが自分とスポーツの関係を考えるきっかけにはなります。ただし、「友達が辞めたから自分も辞める」「友達が辞めても絶対に続ける」のどちらかに急いで寄せる必要はありません。
少し時間がたっても競技そのものはやりたいのか。チームへ行けば楽しい瞬間は残っているのか。それとも以前から別のしんどさがあったのか。そこを本人と一緒に見ていけば、友達の退団と自分の進退を分けて考えられます。
まとめ|まず「寂しい」を置いていかない
仲のいいチームメイトが辞めたとき、子どもが落ち込むのは、チームで過ごした時間や関係を大切にしていたからかもしれません。
親が最初にすることは、元気づけることでも、続けるか辞めるかを決めることでもありません。「寂しい」「次の練習が心細い」「自分も辞めたい」が同じ言葉の中に混ざっていないか、一つずつ聞いてみます。
友達との関係はチームを離れても続けられます。そして、子どものスポーツをこれからどうするかは、辞めた友達ではなく本人の気持ちで決めていい。親はその整理を急がせず、一緒に見ていく立場で十分です。

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