何年か続けているのに、同じ学年の子より上手くなっていない気がする。試合でも結果が出ない。そんな姿を見ていると、『練習を増やしたほうがいい?』『もっと教えたほうがいい?』と親が焦ることがあります。
でも、追加練習を決める前に一度確認したいのは、『何が変わっていないから、上達していないと感じるのか』です。出場時間や得点だけでなく、本人が前よりできるようになったこと、今難しいと感じていること、本人自身が伸ばしたいことを分けて見ると、親の次の動きも変わります。
『上達していない』と感じたら、まず結果と変化を分ける
試合に出られない。点が取れない。レギュラーになれない。タイムが伸びない。こうした結果は分かりやすいので、親も『上手くなっていない』と感じやすくなります。
一方で、競技の成長は結果だけに現れるとは限りません。以前はできなかった動作が安定してきた、判断に迷う時間が短くなった、練習で習ったことを試合で一度使えた、自分で準備や振り返りをするようになった。こうした変化もあります。
もちろん、小さな変化を無理に『成長したことにしよう』という話ではありません。大切なのは、結果がまだ動いていないことと、何も変わっていないことを同じにしないことです。
- 親は何を見て『上達していない』と感じているか
- 本人は前よりできるようになったことをどう見ているか
- 本人はいま、何をできるようになりたいと思っているか
同じ学年でも、発育発達の進み方は同じではない
同学年で同じ競技をしていると、どうしても同じ物差しで見たくなります。
ただ、2026年度の日本スポーツ協会(JSPO)スポーツ少年団ガイドブックでは、子どもの発育発達には個人差があり、外見的な成長の様子と内面的な成熟の度合いも必ずしも同じではないことを理解するよう示されています。
日本スポーツ振興センター(JSC)の日本版FTEMでも、ユース年代の発育発達は個別性が高く非直線的であり、選抜や個別評価では成熟度や発育発達の影響を考慮する必要があると整理されています。
これは『今小さい子は将来必ず追いつく』『上達しないのは成長が遅いから』という意味ではありません。同じ年齢だから、同じ時期に同じ伸び方をするとは限らない、という前提を親が持っておくための材料です。
親が見たい『上達』と、本人が望むことは同じとは限らない
親は『もっと試合に出てほしい』『この技術を早く身につけてほしい』と思っていても、本人は別のところを目標にしていることがあります。
そこで、練習を増やす前に『今、自分では何が前よりできるようになったと思う?』『次にできるようになりたいことはある?』と聞いてみます。
答えが親の期待と違っても、すぐ修正する必要はありません。まず、本人が競技の中で何を見ているかを知ります。
親の願いと本人の目標がずれていると感じる場合は、子どものスポーツに期待しすぎているかも。親の願いと本人の目標を分けてみるでも整理しています。
練習量を増やす前に、『いま何が難しい?』を聞く
上達しないように見えると、親は自主練や追加スクールを増やしたくなります。
でも、本人が何につまずいているか分からないまま量だけを増やしても、同じ困りごとを繰り返すことがあります。
『もっと練習したら?』の前に、『いま一番難しいのは何?』『練習ではできるけど試合だと難しいことはある?』と聞きます。本人が分からないなら、それも一つの答えです。
技術の細かい原因を親だけで診断する必要はありません。必要なら、本人がコーチへ聞けるよう手伝う、または本人の了承を得て親が確認します。
コーチに聞くなら、『なぜ上達しない?』より次に見る一つを聞く
親から見ると停滞しているように感じても、コーチは練習の中で別の変化を見ていることがあります。
相談するなら、『うちの子、全然上手くなっていませんよね?』と評価を求めるより、『今の段階で一つ伸ばすとしたら、何を見ればいいですか?』と聞くほうが次の行動につながりやすくなります。
本人がコーチの説明を理解できる年代なら、本人が直接聞く方法もあります。親が毎回間に入る必要はありません。
2024年の若年アスリートに対する親の役割をまとめた系統的レビューでは、親の自律性を支える関わり、適度な関与、良好な親子関係などが望ましい動機づけと関連していました。これは『親は何もしないほうがいい』という結論ではなく、関わり方の程度や方法が大切だと考える材料になります。
自主練しないことを、『上達したくない証拠』にしない
親が焦っていると、自主練をしない姿が『本気じゃない』『上手くなりたくないんだ』と見えることがあります。
でも、自主練をしない理由は一つではありません。チーム練習で疲れているかもしれない。何を練習すればいいか分からないかもしれない。今は別のことへ興味が向いているかもしれません。
自主練の量だけで意欲を決めるより、以前と比べて何が変わったか、本人がどう感じているかを聞きます。やる気そのものが気になる場合は、スポーツのやる気がないように見えるとき、親が最初に見たいことも参考にしてください。
他の子の伸び方は、親の焦りにはなる。でも評価の答えにはしない
同じ時期に始めた子がレギュラーになった。選抜に呼ばれた。急に上手くなった。そんな場面を見ると、比較しないつもりでも焦ります。
比較したこと自体を責める必要はありません。ただ、『あの子はできるのに』を、そのまま本人の評価へ使わないようにします。
見るなら、前回の本人と今の本人です。それでも変化が分かりにくいなら、本人やコーチと『次の数週間で何を見てみるか』を一つ決めます。
他の子との比較が止まらなくなっているときは、他の子と比べてしまう。やめようとするより「次に何を見るか」を変えるで、親側の視線の戻し方を整理しています。
本人も『全然できない』と困っているなら、環境や負荷も見る
本人自身が長く『できない』『練習しても変わらない』と感じているなら、練習量だけでなく環境や負荷も確認します。
説明が理解しにくい。質問しづらい。失敗すると強く責められる。練習量が多く疲れている。仲間との関係で集中できない。こうした状況がないか、本人の言葉から具体的に見ます。
痛みや体調不良、強い不安や苦痛が続いている場合は、一般的な『上達の停滞』として扱わず、休養や適切な相談を優先してください。
上達を急がせるより、『今どこが変わっているか』を一緒に見る
子どものスポーツがなかなか上達しないように見えると、親が焦るのは珍しいことではありません。
ただ、最初の選択を『練習を増やす』に固定しなくて大丈夫です。
何を上達と見ているか。本人は何が変わったと感じているか。次に何をできるようになりたいか。この3つを確認してから、必要ならコーチと次に見る一つを決めます。
親が先に答えを出すより、本人が自分の変化を見つけ、次を選べる余地を残す。その距離も、長くスポーツを続ける子を支える関わり方の一つです。

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